京都北山・栂尾(とがのお)山、高山寺の寺宝・国宝「鳥獣人物戯画」の絵巻から独自の技法で仕上げられています、五条坂の清水焼「陶泉窯」さんの陶器の取り扱いを始めました。いろいろな色使いと本金の絵付けにより、うさぎやかえる達の楽しくて面白い動きが「雅」に描かれています。京都の清水焼きならではの美しやユーモアに溢れる創作と創造性があります。
私が鳥獣人物戯画に辿り着いたのには、栂尾の高山寺の存在があります。そこには日本最古の茶園と言われる茶園が今もあります。茶を商う者としては、そこはその茶園の歴史的な意義に敬意を表すしかありませんし、同じ敷地にあります国宝「鳥獣人物戯画」にも同様な敬意をともにはらいたいと思っております。日頃、私は京都の街の「街物語」をもっと知りたいがためによく歩いております。その日も決まった目的があるわけでなく、清水の五条坂あたり周辺を清水焼のふるさととしての理解のもとに歩いていました。その日偶然入った陶泉窯さんで遭遇したのが、自分が心のかてとしてある茶器、そしてそこに描かれている絵は、その独創性でとても好きだった鳥獣人物戯画。この二つが同時に具現されていまして、おぉ、絵が描かれた急須と湯呑みがそこにある、なんという出会いなのだろうと思いました。偶然入っただけなのに、しかも、アイボリーの地肌には多様性を持ったクリエイティブが表現されていまして、よく見かけていた他の鳥獣人物戯画とは違う表現であることが、これまた私を虜にしました。この陶器は、いわゆる土もので表現されているところに意味があり、美し過ぎない美しさがあるように私には思え、その出会いにとても驚いたのでした。





清水焼の陶泉窯






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