トランプさんの保護貿易主義的な言動が気になり、結果それが進行すると日本の景気動向が悪くなり、回り回って自分達の日常に影響するのは目に見えていて、それもそんな遠い話のタームでもなく中期計画など策定する時には織り込んでおく必要すらあるように思えてしまうのでこんな話。とにかく車とは直接関係のない業界であろうともその影響は日本において小さくはないと思えています。
ホンダ本社、昼ごはんのついでに寄ってしまう。カフェがあり静かにお茶が飲める。ホンダジェット、アシモはホンダの夢・ドリーム(社是)であり、その先の事業の一角を担うものであります。尊敬の会社。すぐ近くに伊藤忠もありますが、これまたそうです、一人の商人無数の使命が。
ホンダは早くからグローバル化が進んだ会社、海外生産がなんと85%にも達していて、最先端技術のNSXはアメリカで生産されている、今人気の高いシビックはヨーロッパの工場でも作っている、モノづくりなのに国際性が進んだ企業としてはトップだろうと思う。だからことホンダに関してはトランプさんも突っ込みようがない、日本からアメリカに渡るホンダ車は月に5千台ほどでしかないからです。アメリカで売るものはアメリカで企画、製造しているホンダは早くからトランプ氏の登場までもなく、現地で売るものは現地で売るし、雇用するという考えが徹底している。日本から渡るホンダ車ゼロにだって出来ると思われる。
一方トヨタはグローバル比率、つまり海外生産比率は63%であって、ホンダとは20%もの開きがある、レクサスなどはあまりの高品質と日本の文化性を盛り込んでいるため海外移転が難しい状況でもある、トヨタは主に高品質車種は国内生産のようで、それを輸出している。トランプさんのツッコミどころであり、豊田社長もすぐに工場を作ると表明するしか心証を良くする手立てはなかったのかも知れません。しかし、国内を考えれば、単純に移転することは、大きな雇用の喪失であり、技術の流失に繋がりかねない、世界ナンバー1で日本の頂点企業のトヨタであるが故の悩ましい部分。技術やケイレツなどの影響が計り知れないから、簡単にグローバルもまた難しい、ホンダとは異なる状況がありますね。兄と弟のような、兄は国策すら背負わねばならない。
ならばトランプ氏の過大な要求に応えて日本の雇用を喪失しなくて、早期に二国間貿易不均衡の是正ができる可能性が高い商品は、どうもLNGと思えてしまうのです。大変な状況もあって世界最大のLNG輸入国となった日本、そのほとんどを中東からの調達に頼っています。それを地政学的リスクも鑑みて、さらに北米にシフトすることによって、不均衡金額の大半を賄うことができるように思うのです、また、飛行機や武器輸入をこれ以上に促進するのにもかなりの無理がある。一気には難しいでしょうが3〜5年でLNGの中東比率を10ポイントでもシフトすればかなりの違いがあると思います。ところがこれも”資源は商社”の絡みがあり、商社が中東からの資源確保するために使った投資の回収を考えると各商社が簡単にイエスとも言わないのかも知れませんが、今の足元は国家の計として”輸出は輸入に優先する”を通すべきで、トヨタの話ではありませんが、そのピラミッド、技術、地方雇用、地方消費などを考えると国内に広範に影響がある輸出を優先するべきであることは否めないですね。