
関税課されるアメリカ合衆国に置いても厚い利益率で柔軟な価格で、強さが際立つトヨタ。すでに25%の追加関税を課したトランプ関税、しかし米国トヨタではまだほとんど値上げをしていないようだ、事態の落ち着く先が政府間交渉に委ねられているのは、地政学的な軍事戦略の一部と目されているからで。トランプ氏が思うほど、日本は簡単な相手でない、カナダとは決定的に異なる。確かに日本の自動車産業全体はかなりの長期に渡って大きな利益を享受してきている、北米から、しかしそれは米国の経済だけでない、わかり易い当面貿易収支だけでの判断で、すわ関税へという端的な論理は、政権がある今は無理やり作れるが、そう遠くない次期政権の下で、元にまで戻らないにしてもかなり是正されてくるだろうと、それをトヨタは政府よりも、読み込み、織り込んでいる。あのエアバッグ問題の時に真っ先に米国に乗り込み、公聴会の矢面に立ち、流暢な英語で説明し続けた、豊田章男氏のあの姿が米国トヨタのクオリティそのものであり、北米におけるトヨタの品質に直結している、今も。そう思えてならないのだ。日本の財務省が発表した5月の貿易統計速報では、米国への自動車輸出では前年比24.7%減となった一方、台数は3.9%の減少にとどまっている。これは米国の輸入業者が値上げでなく関税コストを事実上吸収することを選び、関税発効前に価格を引き下げたこと示唆している。このような戦略は、ほとんどの企業にとって持続可能でない。トヨタの2025年3月期の営業利益率は10%で、国内同業は平均5%だった。それは、トヨタは価格を安定させる柔軟性に富み、仮に課税に伴うコストを吸収したしても営業利益率は下がっても7%程度だろうと分析されている。しかしながら同様にホンダや日産を見た場合、ホンダは25%の減益、日産は営業損失が3分の1近く拡大すると試算される。結局、弱い企業は顧客にツケを回すしかない。関税交渉が最終局面に来ていて、恫喝のようなトランプ関税交渉は25%どころか35%という数字を言っている。こういう状態はアジアの安全保障局面を地政学的に見た有事に、アメリカは現政権では日本を守らないと言える、間違いないだろう、ネイトーからも降りると言っているのに日本を守るとは到底思えない。自動車関税の問題は国策そのものである。恐ろしい未来が立ちはだかっている。すでに有事に入ってしまっているアジアと日本。こんなに危険な状態は戦後なかった。
以前にも書きましたがUCSDの教授のウリケ・シェーデさんのBtoBダントツの日本企業論での日本の悲観バイアスを排する論文は説得力があります。一読ください。「シン・日本の経営」ウリケ・シェーデ