9月 12, 2025
9月 12, 2025
横浜とアール・デコ建築
日本における西洋様式をいち早く取り入れてきた街、横浜。中でもアール・デコの様式は横浜の歴史にとってとても重要な位置付けにあり、街が発展してきました。
今から102年前の9月1日におこった関東大震災、その震源地は神奈川県。横浜には人口が集中していただけに未曾有な大災害となり、壊滅的に街が壊れました。長い長い復興の時間がかかり、その後の復興事業の大事な部分に、自分たちが誇れる、好きでいることのできる街、として復活再生をするという項目が盛り込まれました。
そんな状況下、この荒廃し何もなくなってしまっていた美しい横浜に、再び復興のシンボルとして後世に誇れる建物、象徴的なものを建てようという考え方です。その礎になったのが、横浜の三塔です。キング、クイーン、ジャックの愛称で今では馴染み深い。それぞれ、キング:県の本庁舎、クイーン:横浜税関、ジャック:横浜市開港記念会館のことで、これらは神奈川の復興のシンボルとして、港横浜、神奈川を象徴し、再び美しい街を作り上げていく礎となっていきました。
そして港を通じ、商船や客船によって世界の人たちが来る街に、世界に誇れるような国際ホテルを創るという気運も生まれ、横浜市が主体となって新しいホテル、その名もホテルニューグランドが誕生しています。今も土地などは横浜市が所有するもので、地代などをホテルは横浜市に支払っています。国際都市としての横浜の始まりの場所が山下埠頭を見下ろす場所に建築されたのでした。
これらの復興事業は1920年代の後半に建てられて、この当時のアール・デコの世界的流行の影響を受けてそれぞれの建築に取り込まれていて、日本で他に例を見ないぐらいにアール・デコな街が横浜市なのです。
その背景には復興復活再生というプログラムがありました。
中でも100年経った現在も魅力的に日々を更新続けるホテル、それがホテルニューグランドです。
ここのアール・デコは圧巻です。外装からすでにアール・デコが始まります。1927年竣工の横浜復興のシンボル。




ホテルニューグランドの設計者は渡辺仁といいます。あの銀座四丁目の三越の向いの時計台のビルの和光ビルの設計者で、同じですね、でも和光の方はネオ・ルネサンス様式のビルでアール・デコではないようです。

