Tenmoku Black by Leach Pottery St.Ives in England

天目(てんもく)とは、元は茶葉の産地だった、天目山 (中国) 一帯の寺院に於いて用いられた天目山産の茶道具で、天目釉と呼ばれる鉄釉をかけて焼かれた陶器製の茶碗のこと。中国・天目山で留学修行した日本人僧が持ち帰ったものと云われる。そこからの呼称「天目」今の日本でも各地にその影響はあり、酸化焼成でも還元焼成でも見た目に大差は出ないため、また黒磁の生産は比較的容易であったため、日常用の陶器として各地の窯で焼かれることになりました。言わば焼きもの釉薬の基本、まずこれが出来てというところか、美術表現のスタンダードと私は解釈。いろんな産地、処にその呼称が出てきます。その手法は中国では宋つまり10世紀頃からありまして、日本では鎌倉時代にあたる12世紀頃に伝来し、天目の茶碗は中の茶の保温に優れたものとして茶道を愛好するものに好まれたために、こうした茶碗を「天目茶碗」と呼んで珍重して茶会の席にも用いられたという歴史があります。茶碗が有名ですが、濱田からの影響でリーチが好んだものの釉薬手法、「天目」ただの黒いマグではない、いわれがあります。それがイギリスの西端でマグカップになっているとは。手にもフィットしていいものですよ。ずっと愛着が湧いてくるような、今の時代そんなものはあまりないですよね、土で創られて、焼かれて、そして飛行機に乗って極東の横浜にやってくる、陶王子の旅は続くのです。

陶王子(陶磁器の作品たち)の歴史をひもといて、それぞれの時代にどんなものが生まれて今に至っているのかを、今、調べています。それが面白いのです。縄文・弥生・古墳・飛鳥・奈良・平安・鎌倉・室町・安土/桃山・江戸・明治・大正・昭和・平成・令和、なぜ器を扱うのかを自分に問う旅、陶王子の旅。

特に今、興味が集中しているのが「安土・桃山」という時代、以前から申し上げておりますようにたった30年ほどの時代、他は数百年という単位が多いのにであります。それは、その前の時代とその後の時代の間にあった、元号じゃなくて時代なのに30年なのでありますが、いろんなものが突然に花開いた時代でありました。30年を「安土/桃山」という呼称で別枠にしなければならないほどの存在感がある時代だからに他なりません。僕は特には「織部」という思想と表現方法に興味は集中しています。なぜなら、陶磁器表現の革命であったからで、やっと大陸のコピーを卒業したいという意思が生まれて表現した時代だったからです。だからそのアバンギャルドぶりは半端ないのです。それを辿るのには縄文まで遡らねばならなかった。それぐらい面白いのが「織部」です。いずれここで深くご紹介することになりますが、あのサントリー美術館で行われた、アバンギャルドの織部の大懐古展は歩いている間中ずっと、笑顔になってしまうほどに、素晴らしいクリエイティブで溢れていた。そんな「安土/桃山」という時代なのでした。いずれほどなく。陶王子の旅。

当時の案内、辿り着くべくして辿り着いたぜ桃山。