美味しい、伊勢の度会産のお茶を味わう小さな幸せの中で。
「常滑焼の急須の価値」
愛知県常滑市。知多半島の西海岸、伊勢湾に面したこの街は焼き物とともに歩んだ。日本六古窯の中でも最大規模の産地として栄え、丹波や信楽にも影響を与えてきた。原料となる良質な粘土を産んだのは650〜100万年前に、この地に存在していた湖沼で、その湖底に堆積された土が常滑焼として、新たな形を得て急須になっている。なんという時の流れだろうか。明治期に朱泥急須づくりが本格化し、ろくろ成形による名品が生み出されて行く。端正な形を作り出す精緻なろくろ技法は、人から人へと受け継がれた。常滑の急須を印象付ける綺麗な朱色は、朱泥土に含まれる酸化鉄によるもの。酸化鉄はお茶のタンニンと反応し、渋みや苦みを和らげて、まろやかな味わいにするという。風土に恵まれた良質な土と、作家の方々が大切につないできた心と技を思う。
美味しいお茶を味わう小さな幸せの中で。
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