投稿日: 1月 02, 2026

白洲正子の世阿弥

カテゴリー: 開物成務

正月第一回MWL オンビジネスの視点 高度な学びの継続を示唆する。ただ学びだけであるそこには。

私にとって唯一の師は白洲正子である。ゆえに武州(武蔵)と相模の間にある武相荘に定期的に通うのである。彼女の書棚に学ぶことは多い。

白洲正子(1910–1998)は、世阿弥が創り上げた「能」という芸術を、単なる古典芸能としてではなく、「日本人の美意識の原点」として現代に蘇らせ、独自の感性で読み解いた稀代の随筆家である。

彼女と世阿弥の関係は、単なる「研究者と対象」ではなく、自らも能を舞う「実践者と先達」という深い絆で結ばれていた。

世阿弥の生きた年代は、日本の室町時代初期にあたる。正確な生没年には諸説ありますが、現在一般的に定説とされているのは以下の年代です。

  • 生年: 1363年(正平18年 / 貞治2年)頃

  • 没年: 1443年(嘉吉3年)頃

  • 享年: およそ81歳

世阿弥は、南北朝時代末期から室町時代初期にかけて活躍しました。特に室町幕府の第3代将軍である足利義満(あしかがよしみつ)の寵愛と庇護を受け、父の観阿弥(かんあみ)とともに、猿楽(さるがく)を洗練させ、現在の能楽として大成させた人物です。

「秘すれば花」や「初心忘るべからず」などの彼の能楽論(伝書)は、その生涯を通じて完成された。

白洲正子と世阿弥:響き合う感性

1. 能との運命的な出会いと「女人禁制」の打破

白洲正子は4歳から能を習い始め、14歳の時には、それまで完全な女人禁制であった能舞台に「女性として初めて」立ち、本格的な修行を積み。後に免許皆伝を授かるほど、彼女の体には世阿弥が説いた「型」や「リズム」が深く刻まれていた。

この「実体験」があるからこそ、彼女の世阿弥論は、理屈ではなく「体感」に裏打ちされた説得力を持っていると思うのだ。

2. 著書『世阿弥』に見る、新しい「花」の解釈

1963年に出版された著書『世阿弥』において、彼女は世阿弥を「孤高の天才」として描き出した。

  • 戦略家としての世阿弥: 彼女は、世阿弥が説いた「秘すれば花」を、単なる精神論ではなく、生き残るための峻烈なリアリズム(現実主義)として捉えていた。

  • 「無」の美学: 世阿弥が目指した「幽玄」を、何もない空間から立ち上がる美、あるいは「死者と生者が交差する瞬間の輝き」として描き、日本文化の本質である「無」の思想へと繋げた。

3. 「老木の花」への憧憬

世阿弥は『風姿花伝』の中で、老いてもなお失われない芸の輝きを「老木の花」と呼びました。白洲正子はこの言葉をこよなく愛し、自身の晩年の生き方や美学にも重ね合わせました。「散ったあとの花、あるいは枯れ果てたあとの美」

彼女は、若さや華やかさ(時分の花)が失われた後に、人間の内側から滲み出る「真実の花」こそが尊いと考えました。これは、彼女の骨董(アンティーク)に対する審美眼とも深く共鳴している。


白洲正子が果たした役割

白洲正子の功績は、難解で遠い存在だった世阿弥の思想を、「現代人の生き方や美学」として翻訳したことにある。

  • 「感じる」ことの復権: 「お能は難しいものではない、見て何かを感じればそれでいい」と説き、知識先行になりがちな芸術鑑賞を、直感的な体験へと引き戻した。

  • 日本文化の再定義: 世阿弥の言葉を通じて、日本人が忘れかけていた「自然への畏怖」や「目に見えないものへの感性」を再発見させた。


世阿弥の「秘すれば花」論

世阿弥の「秘すれば花なり、秘せずば花なるべからず」という言葉は、彼の能楽論の奥義書である『風姿花伝』第七・別紙口伝に記された、「花」の美学と戦略論を象徴する有名な一節です。

この言葉は、単に「控えめな方が美しい」といった奥ゆかしさを表すだけでなく、能楽という芸能の真髄、さらには勝負に勝つための具体的な方法論として深く論じられている。

1. 「花」の概念と「珍しさの理」

世阿弥における「」とは、観客を魅了し、感動させる芸の面白さ、珍しさ、そして一瞬の輝きを指す。

  • 花=珍しさ: 世阿弥は、観客が「これは珍しい」と感じることに「花」が宿ると説きました。観客の予想を裏切り、思いもよらない感動を与えることが「花」の本質であると。

  • 「秘する」ことの戦略的効果: 最初から珍しいものだと告知したり、すべてを見せたりしてしまえば、観客はそれを期待するため、驚きや感動は薄れます。しかし、意図的に隠し、伏せておくことで、いざ披露した時のサプライズ効果が最大化され、それが「花」となる。

2. 勝負を制するための戦略論

「秘すれば花」は、当時の芸能者間の立合(勝負)における明確な戦略・方法論として説かれている。

  • 隠す対象: 秘すべきは、単に芸の技巧や秘伝だけでなく、「秘事を持っている」という事実そのもので。

  • 油断させる効果: 敵方(他の役者や一座)に自分の本当の実力や奥の手を悟らせないことで、相手は油断します。相手を油断させることは、勝利を収めるための大きな効用であると世阿弥は説いた。

  • 生涯咲き続ける花: 自分の家の芸の「秘事」を人に知らせないことこそが、「生涯の主になる花」を持つ秘訣であり、芸を衰退させないための重要な心得とした。

3. 現代への示唆

「秘すれば花」は、現代においても、表現、ビジネス、人間関係など様々な分野で示唆に富んでいる。

  • 余白の美学: すべてを語り尽くさず、余白を残すことで、受け取る側の想像力が働き、より深く心に響きます。情報過多の時代において、あえて見せない・語りきらない「見せすぎない勇気」が、かえって魅力を高めることにつながると。

  • 価値の創出: 秘匿性や希少性は、それ自体が価値を生みます。すべてを公開することが良しとされる現代でも、「いつ、何を、どれだけ見せるか」というコントロールが重要。

まとめて

世阿弥の「秘すれば花」は、能楽における観客への感動の与え方芸の価値の高め方、そして芸道での競争に勝ち抜くための戦略を説いた、奥深い言葉です。単なる奥ゆかしさではなく、「秘密にすることの効能」を追求し、芸を「花」として輝かせ続けるための積極的な方法論であると論じることができる。

そして、世阿弥の「初心忘るべからず」論

初心忘るべからず」は、世阿弥の能楽論『風姿花伝』に見られる言葉の中で、「秘すれば花」と並んで最も有名で、現代においても人生訓として広く知られています。しかし、世阿弥が説いた「初心」の意味は、一般的に解釈される意味よりも深く、多層的であります。

1. 「初心」の一般的な解釈と世阿弥の真意

一般的な解釈(現代の解釈)

物事を始めた頃の未熟だった頃の謙虚な気持ちや、純粋な志を忘れてはいけない、という意味で使われます。慢心を戒める言葉として広く普及しています。

世阿弥が説いた「初心」の真意

世阿弥の「初心」は、単なる謙虚さの推奨ではなく、芸を磨き続けるための具体的な心構えと段階を指します。彼は、芸の習得には段階があり、それぞれの段階での「初心」を忘れてはいけないと説きました。今でいうと大谷翔平が行なっていることだと言える。

  • 是非の初心(若年の初心) 芸を志し始めた頃の未熟な芸。この時期の未熟な芸(「種」)を捨ててしまうと、将来咲かせるべき「花」の種を失うことになります。未熟さ(失敗)を経験として記憶し、その経験を糧とすることが大切である。

  • 時々の初心(各年代の初心): 10代、20代、30代、40代、50代と年代ごとに身につけた芸のこと。例えば、若年期の力強い芸を中年期に忘れてはならず、その時々の「花」を忘れずに積み重ねていくことが重要である。

  • 老後の初心(最後の初心): 老いて肉体が衰えても、心の中で目指し続けるべき境地や、老境に応じた芸のこと。常に芸の向上を志す意欲を忘れてはいけないという、生涯をかけた向上心を説いている。

つまり、世阿弥の「初心忘るべからず」は、「過去の芸、その時々の芸、将来の志、これら全ての段階における努力や経験を積み重ね、捨て去ってはならない」という意味であり、終わりなき求道を促す言葉なのである。


2. 「秘すれば花」との関係性

「初心忘るべからず」は、「秘すれば花」の土台となる精神論・修練論として機能している。

  • 「花」の持続性: 「秘すれば花」は、観客を感動させる一瞬の珍しさ(花)を戦略的に演出する方法でした。しかし、その「花」を毎年、生涯にわたって咲かせ続けるためには、「年々去来の花(ねんねんきょらいのはな)」、すなわち芸の根幹となる積み重ねが必要である。

  • 種を失わないこと: 「初心」を忘れることは、過去の努力や経験という「花」の種を失うことです。種がなければ、その場限りの「手折られた枝の花」のように、すぐに枯れてしまいます。「初心」を忘れず芸を積み重ねることで、毎年確実に咲く「花」の主となることができ、その奥深い実力(秘すれば花)の土台となる。

「秘すれば花」が外に見せる時の戦略(プレゼンテーション)であるのに対し、「初心忘るべからず」は、その戦略を支えるための内面的な修練と積み重ね(プロセス)を説いていると言えて。両者は、世阿弥の目指した能楽の「幽玄」の美と「無常」の理を体現するための、車の両輪のような関係にある。

投稿日: 1月 01, 2026

新春・恒例常滑展

カテゴリー: アルチザンな人たち, 開物成務

常滑の人気急須作家さんクリエイティブが勢揃いします。

1月3日より「初売り」予約になります、詳細はインスタグラムにて近日発表させていただきます。

インスタフォローいただければ自動的に案内が入ります。

この時期の、神奈川県下というか首都圏随一のお品揃えで開催です。

出展作家さま:清水小北條、北條、陶山、山田勇太朗、陽景、ヤンセン三好史織、藤田徳太、濱比嘉詩子、BAN、今井薫、浜坂尚子、益規、山口江太、青木愛佳、中川貴了、千葉光広、甚秋、山田想、谷川仁、トノイケモトユキ、山田陶園、青峰、藤田徳太、高資、丹下悦子

今年も新春早々、3日、4日に小北條さんにお越し、在店いただきます。

 清水小北條xMWLコラボ26″新作
 清水小北條xMWLコラボ26″新作

常滑愛🩷MWL STORE Made With Love 

ハイ クオリティー スタンダードが活きる途(みち)凡ゆるジャンル MWL その視点でしか見つめていない

茶商MWL お茶と急須へのこだわり

投稿日: 1月 01, 2026

濱比嘉詩子さんの置物

カテゴリー: 常滑急須展

絶妙なる表現にて唯我独尊 創造性の高さと組み合わせの妙で高い人気、二つと同じものは当然のことながらない。ここ、この瞬間であります。展示会初期は店頭販売のみ。

三日から常滑芸術展MWL店頭にて オンラインストアの予約サイトから入場のご予約お願いします。

 濱比嘉詩子 つぼもち犬 15,400
常滑伝統の平安後期1200年代から続く甕(かめ・壺のことをかめという)をしれっと持つ犬
 濱比嘉詩子 クマおじさん 18,700円
濱比嘉詩子 トリクマ 17,600円

常滑愛❣️

芸術性の懐の深さ  六古窯の常滑焼の産地が持つ個性の尊重性とクリエイティヴィティを大切にする風土と育て上げる環境、それは六古窯の中でも抜きん出ていると、私は感じている。

人と生まれたからには芸術である、One Percent for Arts どう芸術性のクリエイティヴィティに関われるか、人生を通じての問いかけではある。アートを持つことで芸術を支援したい。

1% For The Planet という名文句、パタゴニアが産んだ地球環境に対する運動、活動である、私はこの活動に感動し、パタゴニア本社に通い上げた。もう遥に昔のコト。

投稿日: 1月 01, 2026

山田想さんブルー

カテゴリー: 常滑急須展

人間国宝 山田常山の孫、山田想さんの作品が入荷。

常滑芸術展 オンラインストアにて予約の上ご来場をお願いします。

青宝瓶 木箱入 44,000円
青 抹茶碗 55,000円
 
ぐい呑み 33,000円
 
 朱泥急須 33,000円
黒 後手急須 66,000円
青ぐい呑み 33,000円
 
青横手急須 
青横手急須 99,000円
黒 抹茶碗 44,000円

投稿日: 1月 01, 2026

山田陶山さんの瀟洒な急須

カテゴリー: Liberal Arts

3日から常滑芸術展 オンラインストアから入場のご予約お願いします。

三代陶山 保守本流の急須 

 陶山 朱泥後手急須(平蓋) 17,600円
 清楚という言葉が相応しい、常滑の保守本流の血筋
 胴穴の茶漉し 山田姓のしるしであります。
 陶山 青磁足付杯 3,300円
上品な青磁 美しい形
 陶山 朱泥後手急須(持ち手竹)22,000円
貴賓と洗練を備えた急須 瀟洒な佇まい
この小ささがいい 持ち手が竹のモチーフである 洒落ている
胴穴である茶漉し 山田家のものである
陶山 朱泥後手急須 17,600円
急須としてとても美しいスタンダードな情景がある あるようでやはりない
詳細が静謐な表情を醸し出している インプットの情報量が違うのだろう 10年毎日急須を見てきて思うことである
 陶山 青磁後手急須(印籠蓋)19,800円
丁寧に作られた、美しい青磁
詳細のディテールが美しいですよね

投稿日: 12月 31, 2025

山田勇太朗さんの極薄

カテゴリー: 常滑急須展
山田勇太朗 藻掛け平丸印籠後手急須 27,500円
これはなんという軽さなんだろうと
この領域は並大抵ではない
 山田勇太朗 烏泥糸目急須 18,700円
手にすれば驚く軽さ それは技術の裏付け
土づくりから、ろくろの指先までが研ぎ澄まされし感性そのもの
山田勇太朗 藻掛け波紋急須 24,200円
漆黒の存在感は煎茶の存在をも際立たせる
常滑らしく波紋
山田勇太朗 朱泥急須 22,000円
朱泥らしさ 常滑の本流
細部に渡る丁寧さの具現 若くして到達ス この時代の勇太朗さんを持ちたいものです

投稿日: 12月 31, 2025

丹波のぜんざい

カテゴリー: Liberal Arts

宝塚丹波ものが全てで作ったよ、溝口さんの大納言小豆、お姉ちゃんところの餅と栗でぜんざい作って昼に食べた。美味いわな。

見栄え良くないですがめちゃくちゃ美味い。
お姉ちゃんとこから餅やら干し柿やらイカリが…
パーリーで、溝口さんとこの餅焼いたらみんな大喜びでした。美味しいわ❗️ってね。みんな美味しい手作り料理を持ち合って、上手いよみんな、いろんなこだわりのある人達ばかりなんで。楽しかったんですよ今年も。顔真っ赤な😡オレ。

投稿日: 12月 31, 2025

アール・デコの急須

カテゴリー: 和魂洋才, 常滑急須展

横浜とアール・デコは深い関連があります。例えばの何例か目として、横浜一番のホテル、ホテルニューグランドです。その姿や内装はアール・デコそのものです。名探偵ポアロというドラマもそうですが、僕の好きな建築群が横浜には存在しています。静かで美しい、アール・デコの数々、山下町界隈は特に。。。バーニーズさんもいいですしね、あのビルとウィンドウ、マリンタワー、そして氷川丸、山下公園、横浜の奥座敷においでやす。

オンラインストアから入場のご予約お願いします。

    小北條 アール・デコ(クライスラービル)朱泥象嵌印籠蓋茶注(黒蓋)28,600円
ニューヨークの有名高層ビルはアール・デコが多いのです。精緻な象嵌表現が、黒蓋と相まって、かっこいいよねーこれで淹れるお茶は美味しいよ。
指先の芸術品、どれだけの時間を費やして作っていただけているのであろうと…思ってしまう。北條陶房の美術工芸品の数々!それでお茶が呑めるのだから…
 小北條 アール・デコ(ウォルドルフ・アストリアホテルの天井)朱泥象嵌茶注(黒蓋)25,300円
ボデイも象嵌も精緻の極み
渾身という直向(ひたむき)さ
小北條 山下公園ロード 朱泥象嵌茶注(黒蓋)
山下公園ロードの輝きを表現 横浜も、この辺りに優れたモノが豊富に ピカピカ
ここだけに一個 MWL STORE 元町店
       小北條 connected leaves 朱泥象嵌印籠蓋茶注(黒蓋)28,600円
繋がりをテーマに、来年も平和に
常滑の土はお茶との相性が良くて、お茶がまろやかになると言われています。鉄分の含有量が多いからだろうと。茶器急須なら常滑1番 

秘すれば花 世阿弥の心 孝幸作品にそれを思う。向かい方が違う。

投稿日: 12月 31, 2025

丹波産のお豆さん

カテゴリー: Liberal Arts

昨日で、常滑芸樹展の準備が完了しました。是非予約の上のご来店お願いします。いいモノばかりが集まっていますから。

鍋としてはほんと重たすぎるんだけど、美味く炊けるんだよね。黒豆も違う色の鍋で、ストウヴの鍋も参戦中。こうなるとお正月。来年も平和に。
丹波大納言小豆のぜんざいを作っている。豆の素質が違うよね、溝口さんところの。いい仕事されています。さあ、黒豆も!先日のパーリーでもみんなの前でホットプレートで丹波餅を焼いたら上手く焼けて、大好評、美味しいーって。ムホホ、来年も平和で。