森正洋との出会いによって私の中の中庸のプレミアムは確立した。

工場で作ることによって量産が可能になり、山の中の産地に雇用が生まれる、村に税収が入る。そしてデザイナーとしの矜持(きょうじ・きんじ)とは焼き上げる前の型に対する絵付けはハンドであること、そこには熟練を要することになり、描き手はその後の自分の未来につながっていく。そして規模の大きな消費地の都会で周知し販売することにより、冒頭の役目としての産業の推進を行なった、人も地元も育っていった。そういう思想をデザインというツールを武器に持ち合わせていた人は森さんただ一人だった。こんな遥かな昔にSDG’sだった人。たくさんの話をして、私の中の中庸のプレミアムという思想は確信に変わった。産地にとっては1000円の器であるよりも3000円の器である方がいいに決まっている、量産と手作りの創作のバランスと価格のバランス、地元の振興である。