投稿日: 4月 20, 2022

白雲窯 ④

カテゴリー: Think.

白雲窯の窯は薪窯(まきがま)独自の西洋式焼窯である。その燃料は旧くなった住宅などの解体により出てくる廃木材(昔の旧家からは良質な木を使っていることも多く、燃焼にはよいらしい)を主体として使っている。私はカーボン・オフセットの観点からもとても興味深いと、5年前に初めて訪問しお聞きした時から思っていました。

人間の行動にはどうしてもCO2が発生する、現代社会では人が生きているということがそうなのだから。電気、ガス、自家用車、物流、モノの生産、どの場面においても発生する、これは停めることはできない。出来ないのならば、プラスとマイナスで何十年かかけてゼロに近づける行為というのがカーボンニュートラル、そして近い言葉のカーボン・オフセットとは、人間が生きる上で削減しつづける技術を進化させてもどうしても出してしまうCO2をZEROに戻す埋め合わせする行為・行動を別の次元からも持ってくることを広い定義で言います。直近の理論ではLCA(Life Cycle Assessment)の思想と密接に関係、影響するものです。最終的にはすべての場面、過程におけるものの数値化と見える化によって全体最適を構築していくことです。

ここではカーボン・オフセットの思想に近い考えがあります、廃木材を利用した窯の焼成です。そこには森林を伐採した木(間伐材などはまた別の定義になるが)を使っていないのでオフセットの数字になると考えられて、本来なら森林を切った木を使うことになるからです。森林の木はそのままに植わっているとCO2を吸収する効果があります。

廃木材もそのままなら、廃棄され、焼却されていて、あるいは意識の高い自治体においては、粉砕され、新たに合板を創る材料になったり、あるいはガス発電所の燃料用のチップになったりもしています。が、そこでも再生するために、最終は発電所が電気を発生させるためにCO2が発生します。

薪窯でも燃焼するとCO2を発生させますが、燃焼させるのに、家として長年使われ役目の終わった廃木材を使うと、薪となる木を森林からあらたに伐採させてはいないので、そこではカーボン・オフセットつまり埋め合わせが行われていることになります。電気、ガス、重油などを窯の焼成には使っていないこともそれにあたり、実際はそれら全体の行為の各地点を数値化・見える化することによって、イメージでのグリーン化でない、全体のライフサイクルの循環、生産から廃棄までのプロセスの見える化・数値化、それがLCA(Life Cycle Assessment)の思想になります。コカ・コーラのペットボトルの論議から始まりました。環境には、ペットがいいのかガラス瓶のリターナブルがいいのか、ということで、その評価はイメージが先行し、ガラス瓶がいいように思えるが、実は各地点の数値化を見える化しなければ、結論とし到達はしないということがわかった。特に欧州の企業ではその導入が顕著です。今後の欧州の電気自動車EVの生産の指針はそれを重視しています。VW、メルセデス、BMW、プジョー、ルノーなど。

私はこれら一連の過程は、SDGsにおける目標の、13番目の「気候変動に具体的な対策」をという重点目標に位置づけられると考えています。あるいは12番目の「つくる責任つかう責任」を考えた場合において、そういう思想を是とする思想がこれからはモノが選ばれる「重点」になってくると思っています。ライフ・サイクルがどうなっているのかがとても大事だと言えます。陶磁器の生産の現場でも無縁ではない。アーティスティックなピースも例外ではない。

(書きかけの文章で今回はここまで、次回は薪窯の創造性について、続きます)

投稿日: 4月 19, 2022

白雲窯 ②

カテゴリー: アルチザンな人たち

独特の力強い表現を魅せる、白雲窯の酒器。釉薬と焼の具合によるものだと思う、その力強さの根拠は。4月28日(木)からの展示となります。焼きの歴史の中で培われたものだけがソレに到達する。

大胆にて繊細、その繊細はやはりグローバル京都という背景が視野に入ってくる、そうモダニズムだ。丹波というよりも京都の街中の、四条河原町の名店でずっと取り扱われているという事実がある。京都は旧い町だが、同時にモダニズムがとても息づく街でもある。京セラがどうだ、ロームがどうだ、島津はどうだろう、最近では日本電産がどうだ。ニンテンドーというトランプのカードの前には花札で始まった会社もあるし、センスの文化を発信するワコールもある。どれも世界に通用するモダニズムだ、その品目は一癖二癖もあるぞ。それが京都や、京都という街を作っているし、維持、継続し、拡大してはる。すぐに話は脱線するぞ。町と街は違うんや、使い分けなアカン、知らんけど。

アルチザンの中のアルチザン、それが白雲窯。妥協のない自然体である。

投稿日: 4月 16, 2022

1999

カテゴリー: Liberal Arts

マルタン・マルジェラによるエルメス、「マルジェラ期」と呼ばれている、時代の先駆け的要素というか、シンプルで普遍的x違和感。自分のブランドとしての「マルタン・マルジェラ」も本人によるデザインは2008年頃までと言われている。名前だけが今も残る。6枚目の写真のノースリーブダブルジャケットなど、ここのところの傾向に普通にある。

1999 SS HERMES by Martin Margiela

たてながというかハイウエストにタイトな感じはここんところのウィメンズの傾向ですがこれほど洗練されたものをなかなか見れない、でもアーカイヴスを紐解けば辿り着くのです。ステラやフィービーのセリーヌにその後の影響を与えたのは間違いないのであります。世紀末のデカダンスだったマルジェラによるエルメス。
今年の傾向のジレなジャケットベスト、リソースはマルジェラだった。
これもそう、ロングベスト
Avant-garde meets Conservative 服の歴史が変わった瞬間。

投稿日: 4月 16, 2022

月刊・新潮

カテゴリー: Liberal Arts

月刊・新潮に「精神の考古学」を寄稿されている中沢さんとはこの方です。茅ヶ崎物語での登場と語りは凄かったねぇ。

中沢さんの語りの部分もあります。

投稿日: 4月 16, 2022

局屋立春の「庭の栗」

カテゴリー: おいしい, アルチザンな人たち

食べたことのないように感じる、東山区五条橋の局屋立春(つぼねやりっしゅん・なんという名前なのだその名前からも漂う、当地では普通でも、普通ではない風情がある)さんの栗が丸ごとの「庭の栗」である。いただきものだが、何度食しても感動的な味とその佇まい。

残り二個になってしもうたわい、飾り帯の紙の絵が….
GWから始まる展示会「村山光生」パイセンの掛け分けの小皿、これもやってきます。