交歓するモダン、機能と装飾のポリフォニー

横浜公園の入り口から乗って、第三京浜を玉川(多摩川)まで駆け上がる、目黒通りに出て走ることしばらく、白金台の手前左手に東京都庭園美術館がある。旧宮家の邸であった、アール・デコ様式の個人住宅は世界中に存在するが、その中でも質が高く、保全状態が良い。1933年に完成したものであるが、空襲を受けていない、皇居、京都や鎌倉などと共に、米国の戦後処理日本、日本再生計画の意図が見える象徴的な建造物だと思う。今の戦争時代に入った、ウクライナに対するロシアの行動を見るにつけ、あらためて恐ろしいものがある。長くなりそうなのでやめておく。

私は「ウイーン分離派」好きである。ホフマンを代表とする歴史的事象のことだ。理由はただ一つ「すべてが美しい」からである。バウハウスまでの影響の道のりは、世紀末から明けてのアール・デコまでの一連の造作芸術の流れが系統だって見える、その重要な中興の祖となったのが「ウィーン分離派の仕事」だったと思えてならない。

最終日だった、見てきて思えば、何度か来ていたかったなと。惜しいことをした。

常設の美術館ではない、企画展を年に5〜6回する。この建物の存在そのもののすべてが美術館だと言える。照明などの全ては、世界的に見ても1900年前半の最も優れたものであることに間違いはないだろう。あまりに美しい照明器具や内装であると思う。

日本の美術館の多さは世界でも傑出していて、その中でも、かなりなものであろうと思う。

ほぼ庭園である、一角に美術館というか、お屋敷あり。
アガサ・クリスティーの名探偵ポアロの時代もこの時代で、イギリスにおいても近い造形がよく出てくる。けれど、これはすごい。
入り口からしてやられてしまうのだ
なんという照明なのだ!
なんと美しいことか
新館の入り口
美しい新館なのであるが、自販機はここでなくてよいだろうに、少し考えればスペースはあった。駐車場前なので、バスとかもとまるのでの配慮なのかも知れないが、その配慮をもう少し考えて欲しかった、自販機が造形全体をスポイルしているは言い過ぎなのかな。モエレ沼公園はノグチが指示して視野の中に日本特有の自販機のある姿を隠したという。無くすのじゃなくて、あるべき場所を考えるということなのだろうと思う。これだけ美しいものなのだから。