私が伊藤忠に興味を持ったのは、丹羽さんという以前の社長さんの経歴と言葉だった。民間人社長から中国大使を務められた経歴の異端さに驚くとともに、たくさんの書籍を書かれていて、そのシテンの視点がおもしろく魅力的であった。そして現会長である岡藤さんの存在、社長時代に数々の名言がある、伊藤忠はスター経営者を多く輩出している。なぜそうなのだろうと思ったのが丹羽さん時代の伊藤忠であり。岡藤さんの言葉「ニッポンのビジネスマン、なんで服に関心がないんやろ」この言葉だ、岡藤さんは東大出である、東大出身の人の言葉として、おもろいなこの人と思ったのである。
伊藤忠=非資源 これも当時おもろいと思った。伊藤忠は資源価格の影響を受けやすい資源ビジネスに偏らず、安定的な収益基盤を築けている。巨大商社の中でも伊藤忠の非資源率は73%で商事の44%、物産の37%に比べて、際立って非資源率が高い。つまり、事業分野の垣根を超えた無限のシナジー創出が可能になっている。私が好きな理念、「全方位」という思想に合致する。
ファミリーマートの独立性 これもおもろい、コンビニはフランチャイズさんの存在が大きい、事業規模を拡大させてきたのは地元に根付くフランチャイズさんだ、そことの取り組みや、その店独自の思想を活かしているケースを見ることができる、唯一のコンビニがファミリーマートだろう。うちが最初に店を出した石川町の裏通り、その駅裏から先にあるファミリーマートさんにそれを見ることができる、まずは接客の素晴らしさ、お馴染みさんの多さ、優れた、そのフランチャイジー独自に品揃えを生かした、コンビニオリジナルとの共存、デジタルDXとアナログのハイブリット化がかなり以前から見えていた。ここにも「ひとりの商人、無数の使命」を地で行く、伊藤忠の理解が見えて仕方ないのだ。伊藤忠にしか成し得ていないことではないかと私は思う。
ヤナセ 日本の外車販売の礎を作った企業を傘下に収めた、特にメルセデスの販売では傑出した歴史がある。多分世界にも例がないだろう、量ではなくて質のことである、それがメルセデス販売の独自性に直結していると感じている。伊藤忠が傘下に収めた時、なんで?今頃?と思ったのだが、ずっと見ていて、そのオリジナリティーを生かした、商社のシナジーが見えてきた、本題はこれからだろうと思う。
まとめて、伊藤忠の魅力は「個の力」だろう、巨大総合商社の中で「最小の従業員数で最大の労働生産性」を誇る企業だ、人がどんどん少なくなる、これからの100年を思うと、それすらも地でいく、若手のうちから責任ある仕事を任せる環境など、日本が与えられている試練の課題解決の糸口すら、北欧の先例の如く見えてくる気がする。事業経営者が学び続ける企業だけが生き残れる時代だろう。わからなければ聞くということ、黙っていても何もわからんぞと。