旅に同行した急須

少し前の話です。常滑の伝統工芸士「清水北條」さんの息子さん「清水小北條」さんと縁があって、私自身が彼のパーソナルヒストリーをとても気に入り、その性格やあえて二つ持つ仕事から学ばれているリベラルアーツな要素にどんどん興味を持ってしまい、また話すればするほど、その魅力的な人柄と繊細で大胆とも言える作風に惚れ込んで行ってしまったのでした。そして私どものためにお創りいただくことになり、それから小北條さんの急須だけは常に店頭に並んでいます。そんな小北條さんがある日、僕にこの旅に持って行ける急須を送ってきてくれて、プレゼントいただいたのです。まあその時の僕の喜びようはなかったと思いますし、少なくとも三回は跳んでいましたね、その時の事を今は表現できるものではありませんが、とにかく嬉しかった。煎茶を愛するものとして、茶を生業とする端っこに居始めた人間として、これらはとても嬉しかったです、今もこれを見る度に同じ思いが込み上げてきます。

僕は当時の仕事柄、年に4回ほど海外に行くことがありました。その時に同行できますよね、というのが彼からの「プレゼン」それがプレゼントだったわけです。まさしくそうなのですね、これがあればどこででも美味しい煎茶が飲めるわけですから。それ以来、旅する急須となったわけです。日々のハードなワークの中でどれだけ私を癒してくれたでしょうか。

歳の差はある二人ですがお茶を思う気持ちは一つです。

朝のお茶、伊勢茶:百年乃茶でいただきました。自分製チーズケーキと共に。旅急須、二重の蓋になり、この被せたふたが湯呑みになります。
僕のSEIKO好きも知っていて、茶にとって、要の「時間」を測るために付けてくれたのですよ。蓋裏にはMWLの刻印、蓋も急須の中に収納できるのです。時計もね。ムフフ。お皿は常滑のセンス:盤、チビカップは安土草多。盆、尾池豪。私にとってのオールスタープレイヤーが揃いました。バンダナは旅茶器を包むために用意していただいてました。キャピタルのバンダナ、図柄がいいですよ。

清水 小北條との急須の世界/ MWL STORE